2013年2月27日水曜日

☆あの朝のひととき


8年前の2月、
私は、東京の赤坂にある
出版関係の会社に就職しました。

その職場のすぐ近くに、
神社があることを知った私は、
出勤前にお参りをするようになりました。

春はしだれ桜が迎えてくれて、
暑い夏の日には、セミの声がこだまし、
秋には、紅葉が目を楽しませてくれました。

都心にいながらにして
四季の移ろいを感じることのできるその場所を、
だんだん好きになっていました。

なかでも私が好きだったのは、冬の朝でした。

最寄りの地下鉄の出口から地上に出た瞬間、
張り詰めた冷たい空気が頬を撫でます。

かすかに聞こえる喧騒。
鳥の鳴き声。
冷たい空気と一緒に鼻から入ってくる
土や樹木の香り。

このような感覚に包まれながら、
社殿の前で手を合わせていると、
自分の心も、ピンとしてくるのです。

時に仕事やプライベートで
大変なことがあっても、
あそこに行けば、
いつもの自分を取り戻せる。

私にとってそんな場所になっていました。

今は現在の職場に移ったため、
その神社にはもう何年も訪れていません。

暦の上では春となり、
草花が芽吹く季節に、期待が膨らむ一方で、
冬の日の“あの朝のひととき”を懐かしく思い出す、今日この頃です。

(青年会中央部 金内 崇幸)

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